Somebody with ZERO-TEX® #06

ジャンルやシーンは様々なれど、その道を自分らしく進む素敵なヒト・モノ・コトにフォーカスした連載企画“Somebody with ZERO-TEX®”。今回は前回に引き続き文化服装学院への生地提供コラボにフォーカス。文化服装学院ファッション高度専門士科の卒業制作発表に密着し、生徒さんらがどんな作品を作り上げ、展示やショーに臨んだのかを1日を通し紐解いていく。

前回の取材コンテンツはコチラ

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遠藤記念館 展示スペース

当日はあいにくの雨だったが発表の舞台となる文化服装学院遠藤記念館は、ショーの準備や手伝いに先生、生徒さん方がおおわらわで、異様な熱気に包まれる。

そんな中まず伺ったのは遠藤記念館に併設された展示スペースで実施されていたキャウカン・パリカさんのブース。前回の取材の際にはお話を伺うことができなかったが、彼女もZERO-TEX®の生地を使って卒業制作を実施。

「私はAdaptive Gearをブランド名・テーマにしています。Adaptiveは環境に適応するという意味で、そこにGearと言う言葉を繋げ機能的な服をモチーフに道具的な側面を強く押し出しました」

そう言って見せてくれたのはトルソーに着せ込まれブースの中でも一際目を引くジャケット、パンツ、シャツで、そこにはZERO-TEX®の特性を引き出す機能が盛り沢山。

「このアイテムはビジネスシーンを想定して作っていて、シャツにはジップなどを採用しています。ジャケットも一見普通ですが、ワキにガゼットを仕込んだり、袖をまくる時に便利なリブを設けています

と、渾身の卒業制作をしっかりとプレゼン。ちなみに彼女はユニフォーム関連の仕事を目指しているとのことで、彼女のアイデアがどんな形で世に送り出されるか期待大。
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遠藤記念館 大ホール

展示をじっくり拝見させてもらっていると、在校生や関係者が徐々に集まりさらに熱気を帯びる会場。そして始まったのが留学生で構成された魯美クラスの発表。ZERO-TEX®︎の生地を使ってこのショーに参加するのは、リ・エリンさんとゴ・キンエツさん。

煌びやかな作品を身に纏ったモデルたちがランウェイを闊歩するのを固唾を呑みながら見守っていると、まず現れたのはチュールをアクセントに効かせたリ・エリンさんの漆黒のドレス。そして、そこに続くのは対をなす前回の取材で拝見させて頂いた純白ドレス。”光と影”と言うテーマは以前に伺っていたが、2つのドレスが色だけでなくデザイン的にも見事な対比となっていた。

ZERO-TEX®の機能にとらわれずファッション的な可能性の探求に感心していると、さらにゴ・キンエツさんの作品を着たモデルが登場。前回の取材では見ることができなかった彼女の作品はZERO-TEX®のデニムをベースにポプリン生地をアクセントにあしらった1着。カジュアルな雰囲気の素材を使いつつも、独自の美学・コンセプトをしっかり落とし込みシックにメイク。

ショーを終えた2人を直撃すると、モデルとして参加してくれた友人らと共に安堵の表情。
ゴ・キンエツさんは「ハリのあるの生地のおかげで造形が綺麗に出ました」とZERO-TEX®︎の生地を使った卒業制作を楽しんでくれた様子。
一方、リ・エリンさんは「無事にショーを終えられて嬉しい。それだけです」と興奮冷めやらぬ様子で喜びを噛み締めていた。
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紫苑学生会館  展示スペース

魯美クラスのショーを見終えて次に向かったのは校舎や遠藤記念館からは少し離れた場所に建つ紫苑学生会館。コチラで展示を行うのは大川実和子さんで、ショーのフィッティングなどの手伝いで忙しい中、わざわざ時間を取ってくれた。

「私の作品のテーマは”ちみこりあ”です」と紹介してくれたのはタータンチェックがあしらわれたパンキッシュで謎な形のぬいぐるみ。聞けばこのキャラクターは彼女が文化服装3年の時に作り出したもので、友人に「ちっちゃい命だから”ちみこりあ”!」と命名されあれよあれよと独り立ちし、気が付けば卒業制作のテーマになっていたんだとか。

そんな独自の世界観を構築する”ちみこりあ”とは裏腹に、大川さんのモノづくりは合理的で「生地を紹介されたすごいなってなったのが撥水。コーヒーすら染みませんってのがよく食べ物をこぼす私には合っていてそれで触って、縫ってみたいと思いました」と生地の機能面にしっかりと着目して作品を制作。いずれも素晴らしい仕上がりで、生地のグリットを柄として生かすなど自身の世界観を保ちながらしっかりとZERO-TEX®の魅力を伝えていた。
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遠藤記念館 大ホール

降り続ける雨のように会場のボルテージはさらに高まり、午前の魯美クラスのショーに続いてファッション高度専門士科4年12名の発表がスタート。

トップバッターを務めるのはZERO-TEX®︎の生地提供を受けてくれた南光葉さん。テック感満点の作品を纏いモデルが登場する中、あらわれたのは前回取材時に見せてもらった純白のセットアップ。もちろん構想中だった”クワガタ”も独自の世界観でしっかりと具現化。

ショーの後半、9番目の登場となったのは宮﨑奏羽さん。彼女は「アーティストやバックダンサーにピッタリ」と言う宣言通り、バックダンサー役のモデル8名分のパンツを制作。ランウェイ上でも圧巻のダンスを見せてくれ、ZERO-TEX®︎の高い機能性をパフォーマンスで証明してくれた。

そして無事にすべてのショーが終わり、ホッと胸を撫で下ろす南さん、宮﨑さんを直撃。

南さんはショーの音楽も一部担当しておりかなり忙しかったらしく「あっという間に本番も終わってしまって、なんか断片的に覚えてるんですけど、今日の記憶をあまり鮮明には覚えてないぐらい」との感想。だが、その趣味の音楽が今回の発表にも実は繋がっているようで「研究員をイメージした白い服は少し年配の方が厚みが増すと思って、僕がよく行く笹塚のミュージックバーで知り合った常連に頼んでみました(笑)」と裏話を教えてくれた。

宮﨑さんも他の方と同様にショーを終えたことに感動しきり。気になっていたダンスパフォーマンスについて聞くと「私、地元が鹿児島なんですけど、別々で上京した高校の同級生がダンサーで今回のメンバー集めを手伝ってくれたんです」との答え。その分、人数分のダンサー衣装を用意するのが大変だったんじゃ?と思うが、それすらも彼女は楽しんでおり「個々にサイズを微調整したりで大変ではありましたが、既製品の量産にも興味があったので楽しんで作れました」と笑顔で答えてくれた。
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外部展示

2つのショーが終わり少し静けさを取り戻した校舎で最後に取材を受けてくれたのは、学友たちのショーフィッティングの手伝いを終えたユー・シンミンさん。

彼女はすでに外部で卒業制作展示を終えており、直接取材することはできなかったが当日は大盛況だったようで、「来場者用に美味しい台湾のお茶を用意したのですが夜には足りなくなって(笑)。あと、前にお話しした会社への就職が決まり、そこのクリエイションセンターの仲間が遊びに来てくれました」と嬉しそうに教えてくれた。

作品の方も前回制作途中にあったソフトシェルのパーカに加え、ツートンカラーが特徴的なジップアップジャケットが合わせて揃い踏み。彼女の作品は東南アジアの自然災害に対応する服をイメージして作られており、特に新たに見せてくれた1着はそのメッセージ性が顕著。

「元々予定していた泥染はメッセージ性を強調するためデジタルプリントにしました。また、過去の災害を知ることはとても大事なので、凹凸に去年の台湾台風の写真を取り入れています」と作品に込められた想いをしっかり熱弁。

最後に今後の展望を聞くと「元々理系なので、デザインの力で何かの問題を解決するのがとっても好きです。だから、この方向でいろんな社会課題に取り組んでいければと考えてます」と堂々と答えており、気鋭のデザイナーとして名前を見るのはそう遠くない未来じゃなさそうだ。



各生徒さんの創造性によって作り上げられたZERO-TEX®の可能性は如何だったでしょうか? 単なる自己表現に留まらず、生地に込められた機能からその想いを読み取り作品へと昇華していく様を目撃し、ZERO-TEX®の未来の一端が覗けたのではないかと思います。生徒さんたちの今後の活躍と合わせ、ZERO-TEX®がどのように展開していくかもぜひチェックしてください!